週刊ボカフロ

ボカロ、音声合成ソフトとそのキャラクターに関するニュースをまとめるブログです。

週刊ボカフロ特集記事:2023年の音声合成ソフトに関するニュース振り返り

この記事では、週刊ボカフロで取り上げたニュースを中心に、2023年の音声合成ソフトについて振り返りたいと思います。

週刊ボカフロは、音声合成ソフトとキャラクターに関するニュースを取り上げていますが、この記事では音声合成ソフトの方を振り返ります。キャラクターに関するニュースは別の記事で振り返りたいと思います。

2023年1月1日の記事から2023年12月31日まで、週刊ボカフロは384件のニュースを取り上げました。その中から、音声合成ソフトに関する主なニュースを、プラットフォーム別に振り返りたいと思います。

 

目次

 

VOCALOIDは、Po-utaや符色、ZOLA、音街ウナなどVOCALOID:AI対応ボイスバンクが続々リリース

2022年10月にヤマハはAI歌唱に対応したVOCALOID6をリリースしました。2023年はVVOCALOID:AIに対応したボイスバンクをいくつもリリースしています。

新しく、ポーター・ロビンソンの声を元にした Po-uta や、ボカロになれるオーディションでグランプリを受賞したPhiloさんの声を元にした 符色 をリリースしています。

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さらに既存のVOCALOID音源をVOCALOID:AI化した、ZOLA Project と 音街ウナ もリリースされました。

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さらにVOCALOID6.3へのアップデートで、ボイスバンク4つを追加(ASAHI, SAKURA, SHION, TAKU)しました。

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歌唱オーディオデータをVOCALOID:AIボイスバンクの歌声に変換する VOCALO CHANGER PLUGIN という新しいソフトウェア製品もリリースしました。

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新しい期間限定プロジェクトVOCALOID β-STUDIOをヤマハが発表。多様なボイスバンクも話題に

VOCALOIDに関するニュースとして、VOCALOID β-STUDIOという2024年3月までの期間限定のプロジェクトをヤマハが始めました。研究段階の歌声合成技術によるDAWプラグイン VX-β を提供するというものです。ノブを使った調声、リアルタイム歌唱合成、Cubaae一体化、10を超える多様なボイスバンクを試すことができます。

ボイスバンクには、VTuberが歌声を提供したボイスバンクが含まれることも話題となりました。

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CeVIO AI は、音楽的同位体5名全員がリリースされ、flower や #kzn 、奏兎める、りむるなど新しいボイスバンクもリリース

CeVIO AI も多くのボイスバンクをリリースしました。既存の歌唱合成キャラクターのCeVIO AI化は一段落して、VTuberなど新しい分野のキャラクターを元にしたボイスバンクのリリースが続きました。

可不を始めとする音楽的同位体シリーズをリリースしているKAMITSUBAKI STUDIOからは、同STUDIOに所属するバーチャルシンガーの声を元にしたボイスバンク弧子と羽累が発売されました。これで音楽的同位体が5名全員リリースされました。

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VOCALOID4でリリースされていたflowerのCeVIO AI ソングボイスもリリースされました。

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他には、VTuberキズナアイの歌声から生まれた #kzn 正式リリースや、同じくVTuberの 奏兎める のソングボイスもリリースされました。バンダイナムコの音楽原作キャラクタープロジェクト「電音部」のキャラクターりむるのソングボイスもリリースされました。

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VoiSonaは、CeVIO AIソングのユーザー向け無償提供、英語ボイス、買い切りプランなど選択肢を増やす

VoiSonaは、新しいボイスライブラリとして MYK-IV がリリースされました。ドラマーでボカロPでもあるマイキさんの声を元に制作されたユニークな音源でもあります。

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英語ボイスライブラリ「Chis-A」もリリースされました。

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既に CeVIO AI でリリースされているソングボイスの一部が VoisSona でも利用できたり、買い切りプランが登場したりと、VoiSonaを利用する選択肢も増えました。

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Synthesizer V AI は、重音テトやGUMI、可不、桜乃そら、夢ノ結唱のリリースが話題に。海外サードパーティー製品も増える

Synthesizer V AI で2023年に最も話題になったであろうニュースは、Synthesizer V AI 重音テトの発売でしょう。もともとはエイプリルフールに嘘のVOCALOID製品として生まれた重音テトが、AI歌唱ソフトになるという事で話題になりました。

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既に他のプラットフォームでAI歌唱ソフトが出ているキャラクターが、Synthesizer V AI でもリリースされるという話題も続きました。

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VOCALOID5 でリリースされていた桜乃そらのSynthesizer V AI もリリースされました。

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キャラクター無しのライブラリーもDreamtonicから多数リリースされています。

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海外のサードパーティーのAUDIOLOGIEやEclipsed Soundsからも、新しいライブラリーがリリースされています。

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2023年のSynthesizer V は、新しいライブラリーが多く増えた一年でした。

 

その他の歌唱ソフトでのニュース

ここまでに挙げた歌唱ソフト以外での、気になるニュースをいくつか取り上げます。

ここまで、VOCALOID、VoiSona、CeVIO AI、Synthesizer V AI のニュースを取り上げましたが、それ以外のAI歌唱ソフトとして、ACE Studioもあります。

ACE Studioは2023年に正式リリースとなったAI歌唱ソフトで、中国製のソフトですが日本語にも対応しており、波音リツもAIシンガーとして利用できます。2023年にはUTAUの緋惺が、ACE Studioで利用可能なAIシンガーになりました。

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ここまで取り上げなかったメジャーの歌唱ソフトとして、クリプトン・フューチャー・メディア初音ミクNTがあります。NTはクリプトン独自開発の歌声合成技術ですが、アップデートを除き、2023年は目立った動きはありませんでした。2024年には何か動きがあるでしょうか。

 

2024年にリリース予定の機能ですが、トークソフトVOICEVOXでハミング機能が開発中と発表されました。キャラクターのイメージのままに歌う機能ということで、「歌うVOICEVOX」と呼ばれるトークソフトに歌わせる技術をサポートするものになるのか、気になる所です。

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トークソフト/テキスト読み上げソフトのニュース

トークソフトに関するニュースをいくつか紹介します。

DreamtronicsとAHSが開発するVOICEPEAKは、当初はキャラクター無しの音声でしたが、キャラクター付きのものも2023年から発売開始しました。1月に東北ずん子・彩澄しゅお・彩澄りりせ・フリモメンをリリースして以来、多くのキャラクターが追加されました。

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株式会社エーアイは、A.I.VOICE2を12月に発表しました。「Neural ボイスライブラリ」によって、さらに自然に人間らしくなった声になりました。A.I.VOICE2 第一弾として琴葉 茜・葵、伊織 弓鶴、結月ゆかり、紲星あかりが販売を開始しました。今後キャラクターも増えていくと思われます。

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株式会社テクノスピーチは、トークソフト VoiSona Talk の開発版を無料公開しました。現時点では、新キャラクター「田中傘」と、CeVIO AI トークボイスのさとうささら・すずきつづみ・タカハシが利用可能です。

正式リリースの時期は未定ですが、今後何らかの動きがあるものと予想されます。

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2024年にリリース予定の音声合成ソフト

これまで2023年の音声合成ソフトに関するニュースを振り返りました。最後に、2024年にリリース予定の音声合成ソフトについて、取り上げたいと思います。

Synthesizer V AI では、AHSが初めてVOCALOID製品を発売したキャラクターである氷山キヨテルとmikiのSynthesizer V AI の制作が決定しています。

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同じくAHSからは、テキスト読み上げソフトVOICEPEAKがリリースされているフリモメンのSynthesizer V AIも制作が決定しています。

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なおSynthesizer V AI 可不は、2024年1月の発売を予定していましたが、発売延期となっており発売日未定となっています。

 

CeVIO AIでは、クラウドファンディングでソングボイスとトークボイスの開発資金を集めたU-Stellaの「ユニちゃん」も、2024年にリリース予定です。

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まだクラウドファンディング実施前ですが、Synthesizer V AI ロサ も告知されています。

 

テキスト読み上げソフト VOICEPEAK 水奈瀬コウ の制作も発表されています。

 

海外では、AI歌唱ソフト Maghni AI が2024年末にリリース予定です。

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以上、現時点で発表済みの2024年にリリース予定の音声合成ソフトを紹介しました。もちろん、まだ発表されていない音声合成ソフトもあるかと思います。2024年、どのような新しい音声合成ソフトが各プラットフォームでリリースされるか、楽しみです。

 

最後に

以上、2023年の音声合成ソフトのニュースを振り返りました。

特に音声合成ソフトのリリースを中心に取り上げましたが、この記事もだいぶ長くなってしまいました。

それも、音声合成ソフトのプラットフォーム/ライブラリー/キャラクターが近年増えているためかと思います。なかには、複数のプラットフォームでソフトをリリースするライブラリー/キャラクターも出てきました。例えばMegpoid(GUMI)は、歌唱ソフトでもVOCALOID6とSynthesizerV AIの両方のプラットフォームで歌唱合成ソフトをリリースしています。

ユーザーにとってプラットフォーム/ライブラリー/キャラクターの選択肢が増えている近年、音声合成ソフトはどのように進化し変化していくのか、そして使われていくのでしょうか。週刊ボカフロは2024年も、その進化や変化を追いかけて、記事で紹介していきたいと思います。

2024年も週刊ボカフロをよろしくお願いいたします。